やっと東京に秋がやってきました。今年は夏が長かったですね。真夏日が90日もありました。皆様に於かれましては、お元気にご活躍のことと拝察申し上げます。

 さて、男女雇用機会均等法が施行(1986年)され、今年は法律施行第一期の大卒女性が60才定年を迎える節目の年です。第一期生が37年活躍する間に、日本も女性活躍を応援・サポートする法律が整ってきましたが、今だに仕事と家庭の両立に悩み、自己肯定感が持てずに働いている女性が多いように思えます。

 女性活躍を応援する書籍である「HOW WOMEN RAISE」の日本語訳、“コーチングの神様が教える「できる女」の法則”を先日読み返してみました。

 本書が、私達に伝えていることは、男性と女性で「仕事が出来る人の法則」に違いがあり、将来に向かっての前進(キャリアアップ)時にブレーキをかけているのは、私達の無意識な中にある「女性特有の12の悪癖(あくへき)」であると言っています。それが昇進・昇級・転職に影響を与えているのです。
 本書は、女性に限らず、人間が持っている無意識の振る舞い(悪癖)を分かり易く分析していますので、男女に関係なく誰にでも役立つ書籍です。パフォーマンスや成果、進捗に影響する、私達の無意識の振る舞い(悪癖)とは何でしょうか?
 今回は、「女性特有の12の悪癖(あくへき)」の中から、3点を取り上げてみますので、自己チェックしてみてください。

1.専門性を過大評価する
 キャリアを形成していく上で、専門(業務)知識やスキルの上達を第一に考えるのは当たり前のことであると思いますが、同じくらい大切なのは、自分のキャリア形成をサポートとしてくれる職場の人間関係づくりや、自分の仕事ぶりを一定程度「見える化」するコミュニケーションなのです。
 例えば異動時等、新しい職場や新しい仕事・職位に就く時、先ず考えることは、「仕事を早く覚えよう」「3ヵ月間は、この仕事を覚えることにまずは集中しよう!」と、仕事(業務)を覚えることが最優先になりがちです。仕事を覚え、少し気持ちに余裕が出来た頃、ようやく人間関係を築く必要性に気付くのですが、時既に遅しです。
 仕事に成功している人は、「この仕事を成功させるためには何が必要か」を、仕事の初日から考え、周囲にサポートを積極的に求めていきます。そのプロセスの中で、仕事と人間関係の双方が効果的に進み、同時に自分の仕事ぶりの「見える化」もでき、周囲との信頼関係も醸成されていきます。いかがでしょうか?!

2.「完璧主義」の罠(わな)に陥る
 女性は育つ過程で完璧な行動をとることを期待されがちです。企業側も、女性には正確で精密な仕事をすることを求め、また、それを評価(昇進昇給)してきました。だから、女性は完璧主義的な仕事をすることが、自分のキャリア形成(昇進昇格)には必要と考えてしまうのです。
 自称「完璧主義」の人は、その完璧さが様々ところで、マイナスに働いていることに気が付かなくてはなりません。例えば、完璧主義者は自分以外の人を認めませんから、人に仕事を移譲(他に譲り移す)することができません。当然部下は育ちません。また、細部に拘り過ぎますから、高いレベルでの仕事ができません。一見責任感があるよう見えるのですが、言い訳が多く、リスクから逃げる人が多いのも特徴として表れています。一番の問題は、周囲に多くのストレスを与えていることです。誰も完璧主義のリーダーの下では働きたくありませんからね!
 リーダーは、組織で働く人のため、物事を前進させるために、大局的な観点から大胆に考えることも必要なのです。

3.コミュニケーションの問題 ~「矮小(わいしょう)化する」・「やり過ぎる」~
 「矮小化」とは、「物事を小さくする・小さく見せる」ことです。 ビジネスシーンで、本当は重大な事なのに、責任逃れや周りの人たちの関心をそらすために、あえて小さなこととして扱う。例えば、「これは大して重要とは思いませんが、でも・・」や、自分が悪くなくても、「すみません、すみません」と言う、これも「矮小化」の一つです。こんな調子ではメンバーから、「リーダーは、はっきりものを言わないので、いったい何を言いたいのかが分かりません」等と言われ、信頼関係は築けません。メッセージは、分かり易く、明確に、正確に、短く、をモットーにしましょう。
 著者のサリーは、「やり過ぎる」については、「感情的過ぎる」「話し過ぎる」「打ち明け過ぎる」の3つを上げています。以前、東京五輪組織委員会の森元会長が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」という発言をし、多くの女性達から非難されました。「話し過ぎる」は失言にもつながります。リーダーには、自己を律するコミュニケーションが必要ですね。

 上記、3点をお読み頂く中で、自身の「悪癖」はありましたか? 何か気付いた方は、先ずは簡単に取り組める部分から未来に目を向け言動改革をしていきましょう。長期的に自分の振るまい(言動)に変化を起こしていける方が、最も成功します。
 皆様の応援団長として、いつも一番前で応援していることをお忘れ無く。

LOVE
植田亜津子