9 月に入り、季節は夏から秋へ移り変わろうとしています。先月は40 度以上の「酷暑日」が過去最多となりました。また、「記録的短時間大雨」が、各地に甚大な被害がもたらしています。被害にあった皆様には、心からお見舞い申し上げます。未だ残暑が続くと予想されます。健康第一で、呉々もご自愛下さい。

 

 さて、最近「経験する」ことから逃げたり、「結論(答え)」だけを知って満足している人が増えているように思います。これでよいのか?と、不安になります。人の成長の7 割は経験によって決まると言われています。私達の能力は、様々な仕事(業務)、役割、人間関係等と関わりながら、そこから得た知識、考え方、スキルが血肉となり形成されていきます。しかし、同じ経験をしていても大きく成長していく人もいれば、成長しない人もいます。なぜ、そのような違いが生じるのでしょうか?それは、「経験から学ぶ力」つまり「経験から吸収する力」の差にあります。

 

 

 「経験から学ぶ力」を高めるためには、目標・到達点に至るプロセスに、価値を見出すことです。仕事に対する思い(ビジョン・目標・信念)と、職場内外に「よき人間関係」を築き(つながり)、それを土台として、挑戦的に仕事に取り組む。その仕事の目標達成に向かうプロセスの中では、失敗や成功を経験し、達成感や成長感、悔しさや挫折感等を味わいながら、仕事のヤリガイを見つけられたり、自分自身と対話ができたりします。

 

 

 忘れてはならないのは、私達は自分の力だけで成長しているのではありません。特に組織人は、関わる上司・先輩・同僚、外部の関係者との「つながり」の中で、刺激を受けながら成長していきます。自分自身で主体的に「経験」を通じて学んでいくことは基本ですが、上司や先輩によって導かれている事実があります。仕事がら、多くのマネジャー(管理・監督職)とお会いしますが、「育て上手のマネジャー」と、「普通のマネジャー」の指導の差がはっきり見えてきました。育て上手のマネジャー(育川<イクカワ>マネジャー)と、普通のマネジャー(普田<フダ>マネジャー)の部下指導のしかたを比較してみましょう。
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〇普田マネジャー:部下の弱みを克服させようとする
◎育川マネジャー:部下の強味を探り、成長ゴール(仕事を経験して伸ばすべきスキルや能力に関する目標)を設定して、部下の強味を引き出す
「普田マネジャー」が、部下の力量を見ながら弱みを克服させようとするのは、自然なことです。一方で、「育川マネジャー」は、なぜ、弱みではなく強味に注目しているのでしょう。その理由はシンプルです、弱みを克服するより、強味を伸ばす方が、成長につながりやすいからです。
 弱みの中には、いくら頑張っても完全に克服することが難しい「先天的な弱み」と、一見弱みに見えるけれど、努力次第で強味になり得る「可能性のある弱み」や「潜在的な強味」があります。
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〇普田マネジャー:問題や失敗を振り返らせる(反省)
◎育川マネジャー:上手くいったこと・成功を振り返らせる

「普田マネジャー」が、仕事上の問題点や失敗したことを反省させ、同じ失敗を繰り返さないよう指導することは大事ですが、ポイントは、「問題点や失敗だけ」を振り返らせているところにあります。一方「育川マネジャー」は「上手くいったことや成功」を振り返り、部下の強味を引き出しています。なぜ、成功の反省がよいのでしょうか?それは、成功の中にその人の勝ちパターン、強味が表れるからです。「自信」と「成長」をつくり、「自己効力感」の向上をサポートしています。
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〇普田マネジャー:マネジャーが全てを仕切ろうとする(管理する)
◎育川マネジャー:職場の中堅メンバーと連携しながら、思い(ビジョン・目標等)を共有
 「普田マネジャー」は、全てを自分で仕切ろうとする、つまり管理しています。責任感の強い人ほど、そうなる傾向があります。人は他人から管理されることは極めて嫌いですし、「普田マネジャー」自身も仕事面で限界がきます。
「育川マネジャー」は、中堅メンバーに一部を任せ、目標や思いを共有しながら、メンバーの行動を方向付けます。こうした体制をとることで、若手・後輩達は自ら様々な経験ができ、職場のコミュニケーションも活発化されます。
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 いかがでしょうか? 「普田マネジャー」の指導のしかたは、極めて日本的で職人的育成法です。時として「自信喪失」「自己否定」を呼び込むかもしれません。日本人である私達は、知らず知らずの内に、昭和感がある“落とし穴”にハマってしまうことがあります。気を付けましょう。
 それに対して「育川マネジャー」のアプローチの中核は、部下の経験の中から「強味を引き出す」指導をしています。個人・集団レベルの違いはありますが、①強味を生かすことで、人は「ポジティブな結果」を生み出す(心理学) ②部下の強味を引き出すことが「マネジャーの役割」である(経営学)③人の強味を生かし、社会に貢献することが「善」につながる(哲学)。強味を引き出すことは、全てにおいて大切なことです。

 

 経験から学びにくくなっている現代だからこそ、自ら経験を創り出したり、また意識的・積極的に、経験から学び取る力を高めていくサポート・支援が必要です。
部下に対しても、自分に対しても、職場において適切な「思い」と「つながり」を大切にしながら、「挑戦(ストレッチ)」「振り返り(リフレクション)」「楽しむ(エンジョイメント)」を繰り返しながら、「経験から学ぶ力」を伸ばしていきましょう。
LOVE
2026 年9月1日