「ミラノ・コルティナ 2026冬季五輪」が終わりました。日本選手団、活躍しましたね。計り知れない重圧の中で、その一瞬に何年も時間をかけてきた選手の皆さんの姿は、私たち(観客)に多く感動や勇気を与えてくれました。暫し、身体と心をお休めくださいませ。
さて、「なぜ、オリンピックは人を感動させるのでしょう?」そこには、人間の心理に深く関係するいくつもの要素があると思うのです。皆様とディスカッションをしたいテーマですが、今回は、私なりの考えをまとめてみました。是非、ご意見をお聞かせください。
1.努力の物語 ~背景ストーリーが見える~
オリンピックは世界最高のレベルの選手だけが立てる舞台です。選手がそこに至るまでには、極限まで努力したストーリー(苦労・努力・挫折・復活等)があり、そのストーリーが、実は「私たちの人生」と重ねやすく、選手の心や気持ちに寄り添え、心から応援できるのです。
勝者にも敗者にもドラマがあり、感動する試合には、勝った人の喜び、負けた人の悔しさ、お互いを称える姿、周りの人々への感謝等を、同時に目にすることができます。
オリンピックは競技そのものが、素晴らしい「人間ドラマ」であり、「芸術作品」であると思うのです。
2.本能的な共感と一体感
私たちの脳は、真剣な競争や極限状態を見ると、共感神経が働き、選手でもないのに、心拍数が上がり、まるで自分が戦っているかのような感覚になります。試合を観ながら、ドキドキしたり、手に汗を握ったり、目がウルウルしてきたりします。これが「類似体験」です。選手の本気の勝負は、私たち観客の本能に刺さるのです。
また、オリンピックでは、言語も文化も違う人々が、同じ瞬間に同じ状況を目にし、感情を共有します。人間は、皆で同じ感情を味わう時、喜びも感動も増幅されます。これは心理学の「情動感染」と呼ばれる現象で、国や文化を超えた一体感が観客席に生まれます。
喜び・涙・悔しさ等が自然に表に出る選手は、観客の共感本能を強く刺激し、好感をもたれます。フィギュアスケート・ペアの「りくりゅう」の逆転劇の喜びや、同じく男子、米国のイリア・マリニン選手のまさかのミスに悔いる涙は、世界の誰もが心を動かされたことと思います。人は“感情を見せる人”に心を動かされます。
3.選手の姿勢
メダル(結果)以上に人を動かすのは、試合に臨む選手の姿勢です。スポーツを追及する姿勢、失敗しても立ち上がる姿、負けても相手を称える姿、研ぎ澄まされた集中力、一流の礼儀正しさ等から伝わる選手たちの姿勢は、「私もこうありたい」と思わせる人生のコーチングメッセージです。
4.解説者の力 ~競技の翻訳家~
オリンピックをテレビで十分楽しむ上で必要なのが「解説者」の存在です。
解説者の実況の仕方で、競技の見かたが変わってきます。過酷なトレーニングの状況や、技の難易度等の説明は、私たちの目には見えない世界を見せてくれ、感動を何倍にも増幅させれくれる力があります。
オリンピックの勝敗は0.001秒の差で決まります。解説者がその瞬間「なぜ、今の動きが勝敗を分けたか」を、即座に言語化することで、「この結果は、偶然ではなく必然だったんだ」と、観客に理解と納得を与え、感動を増幅させてくれます。このように解説者の役割は重要な「競技の翻訳家」「感動の通訳者」であります。
また、優れた解説者は、選手の気持ちや試合の状況に合わせ、声のトーン・間・無駄のない言葉で、私達(観客)の緊張を高めたり静寂を作ったり、感情を爆発させたり、陰でさりげなく競技を盛り上げています。競技の実況と共に「演出家」の役割も果たし、オリンピック競技に私たちを引き込んくれる重要な存在です。
上記4点が、「オリンピックはなぜ人を感動させるか」のまとめです。
皆様は、「なぜか、この選手は心に残った」と感じた人はいますか? また、「一番感動した試合(シーン)」はありますか? その理由を分析すると、感動を生む理由や正体がはっきり見えてきます。
引き続き「ミラノ・コルティナ2026冬季五輪パラリンピック」が、3月6日~15日(大会期間12日間)があります。選手の皆さまに心からのリスペクトと応援を惜しみなく送り続けます。
さて、3月は「期」の締めくくりの月であり、「終わり」と「始まり」が同時に存在する特別の月です。
新人研修が今月から始まる方もいらっしゃると思います。「教える→育てる」「教える→理解を確認しながら進める」「正しく教える→安心して学べる環境をつくる」を心がけ、オリンピックのコーチや解説者のように、愛情をもって新人育成をなさってください。
季節の変わり目、まずは、健康管理を万全に!
LOVE
植田亜津子

