季節は急速に進み、山々が赤や黄色に色づき始めました。富士山は先月初冠雪、北海道内ではあちこちから、初雪の頼りが届いています。
インストラクターの皆様におかれましては、お元気でご活躍のことと拝察申し上げます。
先月はノーベル賞が発表され、日本から2名の研究者が栄誉ある賞を受賞しました。
10月6日に生理学・医学賞で坂口志文氏が、10月8日に化学賞で北川進氏が受賞者として発表され、日本の科学研究力の高さを世界に示す結果となりました。ダブル受賞の快挙に日本は喜びに沸き立ちました。
ノーベル賞の受賞は、研究者や作家、活動家にとって最高の栄誉とされ、その業績は世界中で称賛されます。ノーベル賞は、人類の発展に貢献した人々を称えると共に、未来への希望と可能性を示す、世界で最も“権威のある賞”の一つと言えます
今回はノーベル賞について、改めて概観してみます。
ノーベル賞は19世紀末、アルフレッド・ノーベルの遺言によって、創設されました。
ご存じのとおり、ノーベルは爆薬ダイナマイトを発明した技術者です。爆発物としてニトログリセリンは19世紀中期に発見されましたが、液体のため取り扱いが難しく、大変危険でした。ノーベルはニトログリセリンを珪藻土(けいそうど)に染みこませて安定化させ、安全な起爆装置として雷管(発火剤)を付けました。ダイナマイトはトンネルや運河の掘削に大いに利用され、社会・経済の発展に役立ちましたが、同時に武器へと多用され、戦争を激化させることになりました。
ノーベルは巨万の富を手にする一方で、“死の商人”の称号も授かりました。そのことが、彼に贖罪(しょくざい)の意識をもたらし、自身の遺産で基金を設立し、“毎年の利子を、その前年、人類のために最大たる貢献をした人に分配をする”と遺言を遺したのです。
ノーベル賞は、彼の死後1901年に第1回目が授与され、以降120年にわたり、価値と伝統を誇っています。
ノーベル賞は、賞金の額が大きいことも有名です。現在の賞金は「1,000万スウェーデン・クローナ」です。1,000万クローナ(SEK)を、2025年10月時点の日本円で、仮換算すると、10,000,000×15.90jpy = 159,000,000円(約1億5,900万円)という概算になります(為替レートは時間・取引条件・手数料で変わりますので、あくまでも参考値としてご覧ください)。因みに税金はかからないそうです。
科学系の賞では一つの賞を複数の人(3人まで)が受賞することがよくありますが、その場合、1,000万クローナを受賞者で分配します。3人いれば、3分の1になるということで、若干寂しい気がしますね・・・下世話なことを言ってしまい、失礼致しました。・・・と言いながら、もう少しミーハーさせて頂きます。
過去に、このノーベル賞の賞金を凄いことに使った人がいます。その方は、誰もが知っている超有名な科学者、アインシュタイン博士です。
アインシュタインは、奥様と離婚する時に、「ノーベル賞をとったらその賞金を慰謝料にする」と約束して離婚したそうです。その後、本当にノーベル賞を受賞して賞金を慰謝料にしたと言われています。
まだ受賞もしてないうちから、賞金を慰謝料にすると言ってしまう等、やはり天才の考えることは、常人の発想を超えています。また、その条件を受け入れる奥様も流石です。
さて、授賞式はストックホルムで、彼の命日である12月10日に行われます。授賞式や、後に続く晩餐会の様子はニュースで大きく報じられます。
特に華やかな晩餐会は、1,300名という出席者の多さでも有名です。豪華なお料理と共に、食卓を彩るのは、選りすぐりの食器の数々、なかでもカラトリーは、新潟県燕市に本社をおく、山崎金属工業が作り上げたもので、採用の決め手は同社の職人のもつ確かで細やかな技術にあるそうです。「ノーベル技術賞」があれば、受賞は間違い無しです
このように、日本の研究者が相次いでノーベル賞受賞の快挙にわいている時、同じ位、心を動かされるニュースがありました。
宮城県で、一昨年2月に見つかった人骨の一部が、東日本大震災で行方不明になった岩手県の山根捺星(なつせ)さん(当時6歳)と分かり、ご両親の元に戻ることができました。震災からもう14年7ヶ月余り、それでも人の目に触れ、元に戻ることができたのです。その仕組みが日本にあること、そういう社会であることは、何と素晴らしいことでしょう
一人の丁寧な心ある仕事が、その後何倍もの力と力が重なり合い、一人の人を救うことができたこと、これはノーベル賞と同様の快挙です。貴重な社会資本であると思うのです。
ご家族の談話に、ボランティアで清掃をしている時に骨を見つけて下さった方、調査をした警察の方々への、感謝の言葉がありました。捺星さんをご家族の元に帰した方々に心から敬意を表します。
インフルエンザが全国的に流行期に入っています。健康管理を十分になさってください。
LOVE
植田亜津子

