“Autumn has come” この言葉がぴったりの東京です。皆様お変わりありませんか?
スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋・・と、数ある秋の中で、今最も適しているのは、食欲の秋でしょうか!
スーパーマーケットの店頭にはキノコや果物、魚貝類に新米と、美味しそうな秋の恵みが並べられ、買物をしているだけでも豊かな気持ちになります。旬の食べ物は、比較的お財布に優しい上に栄養価も優れた自然の恵みです。感謝して頂きましょう。
さて、皆様は「熟成」という言葉から、何をイメージなさいますか?
ワインやチーズ等の、発酵食品を想い浮かべる方が多いのでは、と思います。が、今日はちょっと違います。
話は今から7年前に遡ります。7年前の秋、デパートでワンピースを購入しました。生地が柔らかで、色は秋らしいベージュ、着心地もよく、気に入っていたはずなのに、家で着てみると、しっくりこないのです。“似合わないな~”、残念ながらクローゼット入り、次の年の秋も、その次の次の秋が来ても、ずっとハンガーに吊るされたままで「ジャスト・ルッキング」の状態でした。
しかし、昨年やっとデビューができたのです。何となく着てみると、とてもしっくり、いい感じなのです。すっかり、オフ時の定番になり、お友達とランチする時も、ジャズライブに行く時も、活躍しています。GoodFeeling!
はっと、気が付きました。“これって熟成!”私の潜在意識の中に、“ワンピースをいつか着よう”という思い(菌)が5年間ずっと生き続け(熟成)ていたのです。
「断捨離」が叫ばれ“一年着ない洋服は捨てなさい”と言われていますが、私にはどうも、向かないようです。「モノ」は置いておくだけでは、確かに、劣化(腐る)しますが、自分の意識の中に、生き続ければ「発酵」し、美味しくなるのです。(都合のよい考え方でしょうか?!)。
実は研修も同じで、参加した方々から、「勉強になりました」や「自分でもやってみようと思います」等と、嬉しい感想を頂くことがあります。
実際、学んだことを直ぐにアウトプットすることは難しく、むしろ自分の中で「学びの熟成」を行う時間が必要になります。学びを「熟成」するためには、先ず学んだことを、復習し、仕事に何を取り入れていくか、自分は何を実践するか、何が出来て、何が出来ないか・・・等を、じっくり整理・整頓することですね
「学びの熟成」を行うと「学びの発酵」が起こります。この「学びの発酵」が、自分のものになったということです。つまり、自分の血となり肉となるのです。
逆に言えば,学んで直ぐに実践できることは「セールスコピー」で、本当の意味での学びではありません。
興味のあることは、「学びの熟成」が起きやすく、知識や経験は時間をかけて“自分のもの”になっていきます。
1.「学んだ直後」は「理解」レベル
・新しい知識やスキルは、最初は「わかった気がする」程度
・直ぐ使いこなせるとは限らない
2.時間と反復が「深い理解」へ導く
・一度学んだことが後から別の学びと「つながる」ことがある
・難しいと思っていた知識が、数ヶ月後「腑に落ちる」こともある
3.経験や実践が「知恵」に変わる
・実際に使ってみることで、知識が血肉化する
・そこに感情や失敗・成功の記憶が加わって、強く定着
<熟成の瞬間>
「あれ?前に学んだことが、今の仕事にぴったり使える」
「先週(昔)の研修のテキストやレジュメやノートを見返し、今は内容を以前よりもっ と深く理解できる」
「後輩に教えてみたら、自分の理解の浅さに気づけた」
以上のような経験はどなたにもあることです。私たちは、無意識に「熟成」と「発酵」を繰り返しています。
急いで結果を求め過ぎず、“寝かせる時間”も必要です。学びは積み上げるものであると同時に、お味噌のように「熟成」させるものでもあります。
上司や先輩から、「いつまでたってもできないわね」と言われたら「只今、熟成中です。“発酵”するまでもう少し待ってください」と言ったらいかがでしょうか(*^-^*)v。
若い頃から、これをしてみたい、あれをしてみたい、○○に挑戦したい等と、ずっと自身の意識の奥底にしまってある「コト(思い)」はありませんか? 日々の生活で、その「コト」に関わっていなくても、これまでの経験は、その「コト」を「熟成」させているはずです。そろそろ、それを取り出してみてはいかがでしょうか?“ステキな「熟成」”が手に入るのではないでしょうか。
LOVE
植田亜津子