今年は全国的に桜の開花が遅れました。東京はやっと3月29日(金)に桜開花宣言が出ました。桜も人間社会と一緒で色々なタイプがいますね。もうすっかり葉桜になっているせっかちさんや、のんびり屋さん、未だ蕾みが堅いこわがり屋さん・・、お花の色も濃いピンクから薄緑や白色・・等、それぞれが鑑賞する人を楽しませ、心を幸せにしてくれています。
新年度が始まりましたね。今日(4月1日)からは、「新」が付くものがたくさんスタートします。「新入社(職)員」、「新任」、「新制度」等、「新」にはチャレンジが付きものです。「新たな挑戦」は、大変勇気がいるものです。私達の周りに「新たな挑戦」をしている人がいたら、結果はどうであろうと勇気づける言葉でサポートしましょう。チャレンジャーの勇気ある言動はとても尊いです。
コーチングスキルの研修をしていると、「ほめる」と「勇気づける」の違いに対する質問をよく受けます。今回は、「ほめる」と「勇気づける」の違いをご説明しますので、「わかる」→「できる」→「身に付く」のサイクルを回しましょう。
~「ほめる」「勇気づけ」の違い~
1.状況の違い
「ほめる」ことは、自分の期待していることを、相手ができた(達成)時に使います。「勇気づける」は、相手が成功しても、失敗しても、あらゆる状況で使えます。
例えば、
<上手くいった時>
☆ほめる態度:「今の電話応対、凄く上手だった。この調子でこれからも頑張って!」
☆勇気づける態度:「今の電話応対、一生懸命練習した成果が出でいたよ。お客様の満足 度も高かったと思う。頼もしいな~!」
<上手くいかなかった時>
☆注意の態度:「電話が鳴ったら直ぐ出てね!研修で練習したでしょ!頑張ってよ!」
☆勇気づける態度:「電話のベルにビックリした? 次は、チャレンジしよう!」
2.関心の先
「ほめる」は、与える側の関心であり、「勇気づける」は、与えられる側の関心。
3.立場(態度)
「ほめる」は、ほめる側が相手を「評価」していますので、自ずと上下関係が生じます。ほめられる側からは、いわゆる上から目線的な印象を受けます。従って立場は対等ではなくなります。対して、「勇気づける」は、ありのままの相手に「共感」する言葉です。
「“共感”とは、相手の関心事項に関心をもつこと」、相手の目で見、耳で聴き、心で感じる、という言動のため、そこには上下関係はありません。横に寄りそう感覚です。
4.目的(対象)
「ほめる」は、「行為をした人」に対しての言葉ですが、「勇気づける」は、「その人がした行為」に焦点が当てられます。
前述の、新人の電話応対の事例で、「凄く上手だった」は、電話応対者をほめて(評価)います。「勇気づけ」は、「一生懸命練習した成果が出でいたよ」と、新人が努力したことに焦点が当たっています。更に、「お客様の満足度が高かったと思う。頼もしいな~!」と、「I メッセージ」で、相手の関心事項に共感を示しています。
5.波及効果
ほめられた場合も、勇気づけられた場合も、前向きな気持ちになりますが、ほめられ続けると、評価を気にするようになったり、他人との競争を意識するようにもなります。対して、「勇気づけ」は、「自分が行った行為」に対するものですから、「もっと、自分の行為(言動)をよくしよう」や「次は、こんな工夫をしよう!」等と、自分の成長、進歩に意識が向き、目標をもって仕事に取り組み、自律心と責任感が育まれます。
6.印象の違い(受け止め方)
「ほめる」も「勇気づけ」も、与えられる側は影響を受けます。行為に対して行われる「勇気づけ」は、“自分をきちんと見てくれている”“わかってくれている”という“認められ感(承認)”が伝わるため、信頼関係を築きやすいです。対して「ほめる」は、表面的な印象を受けることは拭えません。
7.継続性
「勇気づけ」は、相手の内発的動機を刺激し、未知の事柄に積極的に挑戦し、やり遂げようとする意志を育てるのに役立ちます。対して、「ほめる」は心理的報酬です。外発的動機に繋がり受け身の姿勢が育ちやすく、継続的なやる気を生み出すとは言いがたいところがあります。
いかがでしょうか?「ほめる」「勇気づける」は、一見似ているように思えますが、詳しく分析すると、上記のような違いがあります。
よい言葉を発すると良いことが起こり、良くない言葉を発すると良くないことが起こります。つまり、発した言葉通りの結果が訪れるということです。『言葉がもつ力』です。自分の人生は「自分の言葉」で創られているということですね。
新しいことにチャレンジしている新人は、毎日大変な勇気を使っています。経験者にとっては大したことでなくても、新人には、大きな一歩であることを理解し、まず目線を落として接しましょう。そうすることで、今の私達には見えなくなってしまったことが、見えてきたり、新鮮な気持ちで仕事に取り組め、勇気づけの言葉がひらめくかもしれません。そこからが、勇気づけの世界への一歩となるでしょう。
LOVE
植田亜津子