レター No.85「自分ごととして考える『SDGs(エスディ―ジーズ)』」(2020年10月1日)

自分ごととして考える「SDGs(エスディ―ジーズ)」
 
 10月ですね。皆様お変わりなくお元気にお過ごしですか?
 八百屋さんに「八王子産の栗」が出ていました。早速購入、今は水に浸してあります。何をつくろうか、思案中!

 さて、旧歴10月の異称は「神無月」。神様が無くなる月と書きます。日本中の神様が普段いらっしゃる場所を留守にして、島根県の出雲地方に集まるためです。一方で、神々をお迎えする出雲地方では、旧歴10月を「神在月」とよびます。
 神々様は、風に乗って出雲に向かうと言われ、そのため、「神無月」に吹く西風には、「神渡し」や「神立風(かみたつかぜ)」「神送り」「神の旅」等、情感豊かな名前が付いています。
 出雲地方には、この時季、八百万(やおよろず)の神々を迎える神事を行う神社が多くありますが、有名なのが出雲大社です。出雲大社の「神在祭」に集合した全国の神々様は、これから一年間の「ご縁」について会議を行うと言われています。
 「ご縁」とは、恋愛にまつわるものだけではありません。世界平和や地球温暖化、コロナ対策等々、全ては「ご縁」あってのことです。出雲地方の人々は「神在祭」の期間中、神々様のサミットの邪魔をしないよう慎ましく過ごすそうです。
 サミットの議題は、地球規模ですので、お忙しい神々様のアシストは、国際連合(国連)がします。

 国連は今、世界が直面している、貧困、人種差別、環境破壊等、地球規模の問題を解決するために、「誰1人取り残さない」という共通理念のもと、2030年までに、国連加盟193カ国で、目指す国際目標17を定めました。それが「SDGs」です。
 「SDGs」は、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の英語の頭文字をとった略称で、17の目標が決められています。

「SDGs」目標:
<目標①>貧困をなくそう          <目標②>飢餓をゼロに
<目標③>全ての人に健康と福祉を      <目標④>質の高い教育をみんなに
<目標⑤>ジェンダー平等を実現しよう    <目標⑥>安全な水とトイレを世界中に
<目標⑦>エネルギーを皆にそしてクリーンに <目標⑧>働きがいも経済成長も
<目標⑨>産業と技術革新の基盤をつくろう  <目標⑩>人や国の不平等をなくそう
<目標⑪>住み続けられるまちづくりを    <目標⑫>つくる責任、つかう責任
<目標⑬>気候変動に具体的な対策を     <目標⑭>海の豊かを守ろう
<目標⑮>陸の豊かさも守ろう        <目標⑯>平和と公正をすべての人に
<目標⑰>パートナーシップで目標を達成しよう

 以上の「17の目標」には、それぞれに「より具体的な未来の理想像を示した、より具体的な169のターゲット」が設定されています。
 「SDGs」を理解するためには、「5つのP」で考えると、「17の目標」が整理され理解し易くなります。

1.People(人間)・・・貧しさを解決し、健康に 
全ての人の人権が尊重され、平等であること。貧困と飢餓を終わらせ、ジェンダー平等を達成し、全ての人に教育、水と衛生、健康的な生活を保障する(目標①~目標⑥)

2.Prosperity(豊かさ)・・・経済的に豊かで、安心して暮らせる世界に
全ての人が豊かで、充実した生活を送れるようにし、自然と調和する経済、社会、技術の進展を確保する(目標⑦~⑪)

3.Planet(地球)・・・自然と共存して、地球の環境を守る
持続可能な消費と生産、天然資源の持続可能な管理、気候変動への緊急対応などを通じ、地球の劣化を防ぐことにより、現在と将来の世代ニーズを支えられるようにする(目標⑫~目標⑮)

4.Peace(平和)・・・争いのない平和を知ることから実現
平和、公正で、恐怖と暴力のない社会。全ての人が受け入れられ、参加できる包摂的な世界を目指す(目標⑯)

5.Partnership(パートナーシップ)・・・みんなが協力し合う
世界の人々の連帯強化の精神に基づき、グローバルなパートナーシップにより実現を目指す(目標⑰)

 全世界的な目標である「SDGs」に貢献するためには、世界中全ての人々が当事者意識を持って行動することです。実は、私達も貢献できていることがあります。例えば、水道の水を出しっぱなしにしなかったり、家で誰も観ていないテレビを消したり、エコバックを持参して買い物に行ったり、地元で生産された農作物を購入(地産地消)する等です。
 大阪なおみ選手も「SDGs」に貢献しています。全米オープンテニスの時、7枚のマスクで「黒人差別」に抗議しました(目標⑩)。
 米雑誌「TIME」で、毎年発表している「世界でもっとも影響力のある100人」に、2020年度日本では、大阪なおみ選手と伊藤詩織さんの2名が選ばれました。トランプ大統領、習近平国家主席、メルケル首相などの各国トップが名を連ねる中で、彼女達の勇気ある言動が世界から評価され、賞賛されたのです。

 「SDGs」は、世界中の誰1人として無関係な人はいません。「SDGs」は、「持続可能性」がポイントですので、言動は一度きりではなく、継続的でなければ、問題・課題は解決しません。「ビジネスマナー・インストラクター研究会」も、企業も、家族も、もっともっと「SDGs」について話し合いをしましょう。

 「国連広報センター」が、持続可能な社会のために、「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」という冊子を出しました。4つのレベルで「できること」を紹介しています。
 ☆レベル1=ソファーに寝たままでできること
 ☆レベル2=家にいてもできること
 ☆レベル3=家の外でできること
 ☆レベル4=職場(学校)でできること

 是非「国連広報センター」Webサイトをのぞいてみてください。できることが沢山あることに気づきます。

 世界各国の「SDGs」の達成状況を分析したレポートが、2019年6月に「2019年度版」として出ました。162カ国中の日本の評価は15位。上位3カ国は、デンマーク、スウェーデン、フィンランドと北欧の国が占めています。世界一の経済大国アメリカは、35位、2位の中国は39位。評価は国ごとに「17の目標」の達成状況を、4段階で評価しています。
 日本が達成できているのは「目標④-質の高い教育をみんなに」と、「目標⑨-産業と技術革新の基盤をつくろう」の2つだけです。「目標⑰-パートナーシップで目標を達成しよう」は、最も悪い評価で、特に、日本の男女格差は大きく、先進国の中で最低レベルで世界121位です。因みにアメリカ53位、中国106位です。1位アイスランド、2位ノルウエー、3位フィンランドです。やはり、北欧ですね。

 管義偉新政権が発足した9月16日、米ニューヨークタイムズは、「女性活躍推進の扉は閉じたように見える」と報じました。女性閣僚が2人だったことへの論評です。女性が子供を産み、育てながら安心して働ける環境づくりが、働き手不足と少子化という、日本が抱える2つの難題を克服する道だということを分かっているはずなのに・・、残念でした。

 さて、爽やかな晴れ渡った空の下、心地よい風が吹いたら、神様が出雲に出発する知らせかもしれません。よき「ご縁」がもたらされますよう、そっとお願い事をしてみたらいかがでしょうか。

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植田亜津子

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