レター No.79「新社会人おめでとう!」(2020年4月1日)

 新社会人おめでとう!
 新しい人よ、今は力不足でもいい。しかし、今日から自分を鍛えることをせよ。それが、新しい社会人の使命である。君たちの新鮮な力が、令和に奇跡をもたらすのだ。
 忘れないで欲しい。苦しい時に流した汗と涙は生涯の宝となることを。だから、可能性に向かって汗をかけ!
 美しく強い日本、人が活きる職場、新社会人に乾杯!    

LOVE
(凄く昭和チックなエールになりました)

 

 

好印象への招福   ~人との出会いを大切に!~

 4月は旧人類にとっても、新しい出会いが増えるシーズンです。仕事関係、趣味のサークル・・・。人的ネットワークが拡がることは、自分の世界(視野)が拡がることです。それだけに、出会いを大切にしましょう。

 新しい出会いの時は“第一印象”が重要!そこで思い浮かべるのは「メラビアンの法則」ではありませんか?
 「メラビアンの法則」とは、「コミュニケーションの際、話している内容と声のトーンや態度に矛盾があった時、人はどのような受け止め方をするか」を研究し、法則化したものです。「メラビアンの法則」では、「言語」「聴覚」「視覚」情報が矛盾した場合の、相手に影響を与える要素と割合は、☆言語情報(Verbal)7% ☆聴覚情報(Vocal)38% ☆視覚情報(Visual)55%とし、別名「7-38-55ルール」や、頭文字をとり、「3Vの法則」とも呼ばれています。
 この「3つのV」はお互いに補完しあう必要があり、3つを一致させることで、メッセージは、自分の意図どおり、より正しく、強く相手に伝わるのです。
 例えば、楽しい話をする時は、楽しそうな声で、楽しそうな身振りで話をすることが、相手に「楽しさ」が伝わるということです。
 「メラビアンの法則」は、決して、言葉(話しの内容)よりも見た目が大事ということではありません。誤解している人が多い法則ですが、誤解していた人は、この機会に修正をしましょう。

 さて、本論に戻ります。今回は、なぜ、第一印象が大切なのかを、社会心理学の、「初頭効果(しょとうこうか)」と「新近効果(しんきんこうか)」で解説いたします。
 「初頭効果(Primacy effect)」とは、“最初に示された特性が、記憶に残りやすく、その後の評価に大きな影響を与える”という心理効果です。よい第一印象でスタートできれば、その後たとえ失敗しても相手の中で、よいイメージへ軌道修正してもらえる・・まるで魔法ですね。逆に第一印象が悪ければ、そのマイナス評価がずっと消えず、例え、良い行為であったとしても、評価は上がらないということ。いかに、第一印象が重要かということです。
 第一印象は、出会いの瞬間~7秒以内(研究者によって違う)で決まるという実験結果があり、しかも、その印象は、約半年間続くとも言われています(植田は一生続くと思っています)。だから、第一印象に影響を与える要素である、挨拶、表情、動作、身だしなみ、言葉遣いはとても重要なのです。

 次に、「新近効果(Recency effect)」とは、“最後に示された特性が記憶に残りやすく、その後の判断に大きな影響を与える”という心理効果です。“新近性効果““終末効果”とも呼ばれます。一言で言えば、去り際が大切ということです。
 意外にも、私達が疎かにしているのが「新近効果」です。例えば、金融機関に行った時、待ち時間の長さに不快感を抱きました。しかし、担当者が帰り際に、誠実な態度で丁寧に謝罪をしてくれました。すると、どうでしょう、今まで抱いていたマイナスの印象がプラスに変わってしまいます。このような経験は確かにありますね。
 例え、第一印象が悪くても、「新近効果」によって、印象は新しく更新されるということです。つまり、“終わり良ければ全てよし”昔の人の言うことは正しいです。
 人間関係づくりには、第一印象だけでなく、別れ際・去り際の印象も実は大変大事なのです。お会いした後に、直ぐにお礼の電話やメールをくださる方がいます。「何と素敵な方だろう」「もう一度この方とお会いしたい」と思ってしまいます。「親近効果」ですね。こうした行為は決して意図的なものではなく、相手へのリスペクトがあれば、自然なかたちでさりげなくできているものです。

 「新近効果」と似ていますが「ピーク・エンドの法則」という理論があります。人の記憶のほぼ全ては、時間的な長さではなく、クライマックスの場面と、終わり際の場面の、2つの印象で判断するという法則です。
 過去に見た映画を思い出してみましょう。アメリカ映画は、最後の10~7分にクライマックスを持ってきています。映画で記憶に残っているのは、ストーリーが一番盛り上がったシーンと、ラストシーンではありませんか?ラストシーンがハッピーエンドならば、その映画は楽しい映画、ラストシーンが哀しい終わり方ならば、哀しい映画として記憶に残ります。流石、心に残る映画は、心理効果を狙った作品づくりをしています。 
 まとめます。初対面でよい人間関係づくりをしたい時は、様々な効果を生み出す、第一印象を良くします(初頭効果)。もしも、第一印象で失敗した場合でも、「新近効果」を使い、別れ際に良い印象を残せば挽回ができます。
「初頭効果」→ 最初のイメージが強く、記憶(印象)に残る心理効果。
「新近効果」→ 最後の主張が強く、記憶(印象)に残る心理効果。

 この理論は、ポーランド出身のゲシュタルト心理学者である、ソロモン・アッシュ(Solomon Eliot Asch)氏が1946年に行った印象形成実験によって提唱されました。
 つまり、人に良い印象を与えるためには、「始めと終わり」が肝心。逆にいえば、真ん中の記憶は残りにくいということです。
 この2つの心理効果は、人間関係づくりだけでなく、様々なビジネスシーンで活用できます。PRやセールス時の商品説明等は、最初にポジティブなイメージを提示し、ネガティブな要素を真ん中に、判断材料となる最後の主張は、ポジティブな要素で締めくくる。つまり、ポジティブな要素で、ネガティブな要素をサンドイッチするのです。これは交渉術で使われる「両面提示法則」というものです。
 新人研修や営業研修の時に、「始めと終わりの挨拶はダントツよく決めましょう。そうすれば、真ん中がずっこけても許されます」と、いつも口酸っぱく言っていますが、この心理効果を狙ってのことです。 知って得する心理学、如何でしょうか?

 人間関係、ビジネス、恋愛・・・等、もしも上手くいかなかった時は、ご自分のコミュニケーションの在り方を見つめ直してみましょう。課題が見つかるかもしれません。

 さて、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は、明らかに加速しています。2020年東京オリンピック・パラリンピックも、選手、観客全ての人々の安全と安心を守る為に、オリンピックが2021年7月23日~、パラリンピックが2021年8月24日~それぞれ延期して開幕することを決定しました。
 今、私達の責務は、危機意識を持ち「感染しない」「感染させない」ための倫理観とルール、エチケットを守った言動です。それが、自分の命、家族の命、友人の命等、大切な人々の命を守ることに繋がるのです。自覚のない行動をとっている人には勇気ある注意も大切です。
 世界中一致団結し、見えない敵「コロナ」を封じ込め、早い終息を迎えましょう。

LOVE
植田亜津子

 

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